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アマダイ通信(水族館通信改め)  NO.11      97年1月底冷えの朝に


◎合冊と改題と

 総括という言い訳と、思考の整理、お世話になっている方への近況報告をと思い、何時まで続くかなと思いながら始めた「通信」ですが、遂に前号で十号となりました。個人的な思いを長々綴った文章を臆面もなくあちこち送り付け、我ながら随分馬鹿なことをしているなと思ったりもします。それでも時々、読者の励ましのお便りを頂いたりすると、又、気を良くしてワ-プロに向かいます。今では仕事や、東大三鷹寮の同窓会の三鷹クラブ、団塊議員ネット、能代山本フオーラム21など広がるネットワ-クの準機関紙的な役割も果たしつつあるのではないかと、思ったりもしています。

 そこで十号という区切りのいいところで合冊を出すという恥の上塗り。なんて馬鹿なことをするんだろうと又、思ってしまいます。それでタイトルは・スミスバーニーインタ-ナショナル投資顧問部東京駐在代表の三谷恭正先輩(東大三鷹クラブ世話人S33年入寮)に銀座のシェノザミで誰彼を紹介して頂く時の「こいつ馬鹿だけど、いい奴だから宜しく!」という「枕詞」から採らせて頂き、「馬鹿だけどいい奴だから宜しく!」。そして、悪乗りついでに三谷先輩にお言葉を寄せて頂き、表紙の白神山地のブナの大木の写真と裏表紙のハタハタマ-クは故郷八森町の菊地純一郎町長から送っていただきました。

 そして三谷先輩からアマダイの「愛称」をいただいたのを機に改題、「アマダイ通信」とし、発行所も「銀座一夜干館」と更に悪乗り。三谷先輩等三鷹クラブ有志とその仲間が二十年ほど前に銀座に作ったクラブ「シエノザミ」に置いてもらうことにしました。因みにIWハ-パ-等のボトルが八千円、毎回の飲み代が三〜四千円の今時の銀座には珍しい「シエノザミ」とは、フランス語で「みんなの家」。色気を金で買おうという向きには合いませんが、時に仲間と語らい、時に一人グラスに向き合うにはいい店です。果たして色美しいアマダイの如くキラキラ光ることが出来るか、「銀座干し」の如く付加価値の高い作品たり得るか心許無いのですが、改題して二周り目に。

◎合冊発刊に寄せて

 水族館通信と言う、奇妙な印刷物が配達されて、もう数年になる。誰が書いたものか、何故送られて来るのかも分からぬままに、暇な時に読んでいた。まるで日記のような、それでいて何を言っているのか分からない。やたらと人の名前が出てくる。

 何だこれは!と思いながら、何回目かの通信の最後に「干場」という名前を発見した。「ナンダあの干場かあ」それでやっと、水族館通信なる名前の由来がわかったような気がした。密かに「干場」に「アマダイ」(関西では“ぐじ”と言う)とニックネームをつけて悦に入っていたが、余りに一致した名前に思わず吹き出した。

 アマダイの一夜干し(参考までに、アマダイの一夜干しは、別名東京では銀座干しと言われ、もっとも高価な干物である)、才に溺れることなく(才が無いと言う意味もある)、笑顔を忘れることなく(なんとなく笑っている顔に見える)、世話焼きおじさんのイメージを損なうことなく(アマダイイメージ・・・頭のデッカイ鯛)、精力的に動く干場クンと、色々な魚がうろつく「水族館」のイメージとは、不思議なハーモニーがある。何時の日か、「水族館」の魚達が、力を結集し強固なガラスを破り、鮭の川上りの如く、「水族館」の階段を駆け上がり、近くの海に集団脱走し、トキの声ならぬ水飛沫を上げる日があれば、面白く、楽しいなあと「兜町の哲人」は考えている。好漢の健闘を祈るや切。

◎49歳9ケ月の転進

 3年半世話になった高橋カーテンウオールを昨年9月で円満退社、前号で紹介したOE(Oasis Ecology)式雨水地下貯水システムを普及する事業に参画。疾風怒濤の二十代、雌伏の三十代を経て、不惑の歳にビジネスの世界に。「人生わずか五十年」の上がりの年にまたもや転身。環境ビジネスに惹かれてしまうのは我が「青春時代の夢」の名残りか。

 前職では高層ビルの外壁の営業で全国を走り回って、ネッットワークの錆を落とし、広げ、皆さんにお手伝いしていただいて会社にもそれなりに貢献。退社の際、高橋社長からは「授業料を払って下さい」とのお言葉。多少のお返しはしなければと思っています。ネットワーク活動が仕事の幅を広げ、私も楽しみ、周りの皆さんにも多少は楽しんでいただく。仕事とネットワーク活動のハッピーな関係を更に発展させていければと思います。

◎能代に撒いた種、高松に飛ぶ

 5月に「通信」の9号で「地球人として、今、中国をもっと知りたい」というテーマで2月に行われた能代市教育委員会主催の「のしろ国際交流のつどい」を紹介したところ、高松の立野省一弁護士(S41年入学LI2Eの級友)より連絡が入る。高松市日中友好協会の創立メンバーで事務局長をしているが、緑の地球ネットワーク事務局長の高見邦雄君(S41年三鷹寮入寮)と外務省国際情報局下荒地参事官(前北京駐在日本大使館公使)を高松に呼び、能代と同様の催しをしたいから連絡を取って欲しいとのこと。下荒地君とはお互い文科一類2組中国語クラスの同級生なのだから直接連絡を取ればいいじゃないかと言うも、「暫く会っていないので」と柄にもなくシャイなことを言う。私が連絡役になり、8月31日(土)に「国際交流と地球環境を考える講演会」(共催=高松市日中友好協会、国際交流協会、後援=市教育委員会・四国経済連合会・香川経済同友会等)が行われる。

 前日高松に入り、私はJR四国の本社ビル外壁受注の際お世話になった前JR四国専務の児島和希先輩(S33入寮・現四国キヨスク社長)、高木取締役等に高松駅舎の営業を兼ねて挨拶回り。県庁で高見君は「どんぐり銀行」(秋に集めたどんぐりの数に応じて翌春苗木を貰える)など高松の自然保護団体のメンバーと交流会。日中隠密行動の下荒地参事官とは高松の財界人を対象の「中国は何処へ行くのか」という氏の講演会と懇親パ-テイで合流。その後、二次会、三次会と三人で立野君に高松の夜の街を案内して貰う。

 講演会は高見君が黄土高原の緑化協力と沿海部とは違った「もう一つの中国」の人々の生活についてスライドを使って紹介し、下荒地君がマクロの中国の現状と日中関係の今後について話す。沿海部の中国人に話しても「嘘だろう」となかなか信じて貰えないほどの極貧に喘ぐ内陸中国の人々の、それでも笑顔と感謝の心を忘れず助け合って生きる姿と、北京に近づくにつれ人間関係がギクシャクし金オンリーに変わっていく沿海部の様子は、戦後の日本の50年の変化を一度に見る様で、高見君の話しを聞く度、「幸福」という言葉の持つ意味をあらためて考えさせられます。

 そんな中国ですが、12億の民をどうにか食べられる様にしたのは中国共産党の功績で、その意味で共産党に対する一般国民の信頼は厚く、又、代わる勢力も無いので、「社会主義市場経済」という名の「資本主義」を進める共産党の「開発独裁」がうまく行く限り、老小平後の中国の体制に変化はない。既に今の中国は江沢民体制に移行しているが、沿海部と内陸部の経済格差、沿海部の「拝金主義」と治安の悪化、官僚の腐敗は目に余るものがあり、これらに共産党がどう対処して行くかがこれからの中国の安定の鍵であると下荒地君は説く。

 今回能代に撒いた日中交流の種が計らずも高松に飛んだ訳ですが、能代の「交流の集い」の後「緑の地球ネットワーク」の会員も増え、テレホンカード収集やKDDの割戻サ-ビスに協力するなど、黄土高原の広大な砂漠化地帯に色々な形で「木を植える人」の輪が広がっています。昨秋の黄土高原でのワ-キングツアーには、田舎で明治以来四代目の郵便局長の「家業」の傍ら植林に励む兄も参加して、日中戦争に動員された父が「荒らし回った」であろう彼の地で緑の回復に手を貸して来ました。ノンポリの兄も行くとなれば中野刑務所のガラス越しに向き合って、中国侵略の責任を反省しない限り口は聞けないと、真夏にわざわざ田舎から面会に来た父親を追い返してしまった私としては、水洗トイレのない所には行けない等と高見君の誘いを拒む訳には行かない様です。高松で立野君が撒いた種もきっと色々な形で花開くでしょう。そして、高松の次は駒場で緑のヘルメット(構造改革派)をかむっていた中村順英弁護士等が熱心に日中友好運動を進める静岡や、国際交流活動が活発な三鷹市で如何でしょうか。

◎右翼も逃げる嵐をついて民主党旅立つ

 「排除の論理」とか、「兄弟党」だとか色々言われながらも、総選挙を前に菅と鳩山の民主党は旅立った。遂に「団塊世代の党」が出来た。折から台風が首都圏を直撃、小平の駅にずぶ濡れで着くまで、誰も前を歩いている人はいない。それでも団塊世代の党が出来る瞬間をこの目で確かめなくては。嵐をついて結成準備会の会場、ホテルオ-クラに向かう。ずぶ濡れのまま四谷からタクシーに乗り、先ず麹町の参議院議員宿舎で今井澄後援会の「幹事会」に出席。ほぼ全員が速やかな民主党への参加を迫るも、社会民主党長野県委員長を務める今井議員は組織全体の民主党への移行を図りたいと決意表明。

 ホテルオークラにはプロジェクト猪の他のメンバーの顔も幾つか。同じ思いで駆け付けたのだろう。雛壇に菅、鳩山兄弟、海江田、横路、岡崎トミ子等の見慣れた顔が並ぶ。だが立候補予定者の中には富塚三男等「えっ」と会場から溜息が漏れるメンバ-も。壇上を往来する事務局メンバーにも見慣れた社会党の顔。旧社会党や個別利害を追及する労働組合にどれだけ距離を置き、「市民が主役」の民主党をどうやって作るか、大きな課題が残った。

 日本教育会館の結党大会にも参加するが、右翼の街宣車が出迎え。それなら準備会にも来ればいいのに、嵐の日は顔を出さなくて日和見めと横目に見て、歴史的な結党大会に参加。いずれにしろ政治の悪口をいい、或いは政治家に何かをして貰うことを期待するだけでは世の中は良くならない。国民一人一人がそれぞれの出来る形で政治に参加し、政治家を育てる努力をすることが必要とあらためて思う。「団塊世代の党」が出来た今、プロジェクト猪・団塊議員ネットワークは党派横断・地域横断的な各層の首長・議員の、交流・討論の場となり、より広範な、団塊世代を中心とした勢力の結集を目指したい。

◎「老人全共闘」では遅すぎる

 先の総選挙期間中、高二の娘から質問される。「現代社会の授業で消費税についてのデヴェイトがあって、消費税5%反対の側に回るんだけれど、お父さんどう思う」と。国の借金が四百兆円ほどあって、人口構造の高齢化がどんどん進むことを考えると、借金をこのままにしておいて、払いを子供達の世代に回す訳には行かない。今我々の世代個々の肩にかかる重さとは比べ物にならない重さの荷が、このままではこの子達の肩にかかってしまう。いや今1ドル110円程度の時代の借金四百兆円に利子も加わり、財政が大赤字のままで貯蓄も増えないとすれば、為替も円安にドンドン振れるだろうから、1ドル200円になりでもしたら、四百兆円は一気に八百兆円になってしまう。倍以上になった借金が働き手の少なくなる大人になった子供達の世代の肩にズッシリとかかってしまう。そんな時に働けなくなった我々団塊世代が、これまで掛け金を払ってきたのだから食えるだけの年金を寄越せと、老人全共闘を作って騒いでも遅すぎはしないか。

◎党派を越えた団塊世代の政治家の討論と交流の場へ!

 6月15日の結成総会でスタートしたプロジェクト猪の政治分科会・団塊議員ネットワークですが、先の総選挙では会員が7人立候補し鳩山由紀夫(民主、北海道9区)、生方幸男(民主、南関東ブロック)、上田清司(新進、埼玉4区)、並木正芳(新進、埼玉8区)、山本孝史(新進、近畿ブロック)、中桐伸五(民主、岡山2区)の6人が当選。そこで10月13日に四谷の弘済会館で早野透朝日新聞編集委員(火曜日朝刊でポリチカ日本を執筆)の記念講演、並木・上田(新進党)・生方・海江田(民主党)衆議院議員と古川俊一筑波大助教授(S43年入寮)によるシンポジュームと懇親会を開催。今井澄、松崎正義、鳩山由紀夫、国井政幸、城島正光、保坂展人、菅直人等多数の国会議員、首長、地方議員が駆け付け、プロジェクト猪の会員も交え150名ほどが会場を埋め尽くす盛会となりました。

 この会合でも確認されたように、今回の選挙で世代の交代が大きく進みました。団塊の世代を境に、政治手法、歴史認識、環境と開発、戦争と平和、福祉等の問題を巡って明らかな姿勢の違いがあります。その中で「団塊の世代の党」として菅と鳩山の民主党が産声を上げ、他の党でも団塊の世代以下の新世代の議員が躍進しました。自民党も新進党もいわば一種の選挙互助会として、新旧世代が対立を孕みつつも一つになっていますが、もう一つの対立軸である都市と農村の問題も絡めて、一緒にいることが不可能になる時が遠からず来る気がします。都市と農村の対立の問題も政・官・業の癒着とは無縁な新世代の政治家が、行政改革と地方分権を実現することで初めて可能となります。金と権限を中央に集中するから金の配分を巡って都市と農村の対立が生じます。新世代の政治家がいずれ大同団結し歴史の駒を大きく進めるために、団塊議員ネットが党派を越えた同世代の政治家の討論と交流の場として発展していければと思います。

 幸いその後も自民党の中野正志(宮城2区)、坂井隆憲(九州ブロック)衆議院議員が入会。与野党を問わず、Dネットに寄せる期待の大きさを感じます。二回の勉強会を含め結成以来半年間の活動の場は東京でしたが、今年は全国各地で勉強会や交流会を持ち、議員が主役の団塊議員ネットへと成長して行きたいと思います。プロジェクト猪の会員の皆さんも団塊議員ネットに参加することで、政治参加を図っていただければと思います。

◎プレジデントに団塊議員ネット登場

 Dネットの活動で超党派の議員と接触したりしていますと、政治は確実に変わりつつあると感じます。今回の総選挙で団塊世代が、民主党を代表に表舞台に飛び出したことが大きな要因でしょう。いやそれ以上に、時代が新しい政治を求め、社会の変革を迫っているのでしょう。追いつき、追い越せで欧米の後を追っていれば良かった時代から、自分の頭で、自分の足で歩く時代へ。国境を越えた大競争の時代、環境の制限の下で、地球規模での最大多数の最大幸福を求める時代へ。高度情報社会化、国際化に対応する政治と行政の改革が求められ、我々の世代の価値観、感性が求められているということでしょう。

 そんな観点からでしょうか、先日雑誌「プレジデント」にインタビューを求められ、この20日発売の次号にまとめが載ります。財界の機関誌のようなプレジデントに私逹のインタビュ-が載る、隔世の感がありますが、取り敢えず最初に飛び出したということで今回は民主党に注目しています。ただ民主党も「2010年までの時限政党」と謳っていますが、それまでは存在せず、大きな再編のうねりが民主党も自民党も巻き込むでしょう。年末に四国の小野晋也代議士の勉強会で自民党本部に足を運んだ際に、政務調査会のスタッフの田村さんが「龍ちゃんなら(行政改革が)絶対できる」と言っていましたが、自民党の体質からしてどうでしょう。今回の予算にしても消費税は上がり減税は止めても借金は減らない、「やらずぶったくり」のバラマキ予算で、ツケは先送りです。自民党流の行財政改革の先は見えている感じがします。

 いずれにしろ改革出来ない時は自民党は次の選挙で大敗し、世代の交替と再編が大きく進むでしょう。欧米や韓国に比べ出遅れた感はありますが、日本でも新しい感性とエネルギ-を蓄えた我々団塊の世代が主役になり、四半世紀の雌伏の後で、形を変えた変革を進める時が来たのだと思います。

◎坂井隆憲自民党衆議院議員と行財政改革を語る

 Dネット勉強会の年明け第一弾は大蔵省主計官出身の若手自民党代議士(当選3回)、財政部会長の坂井議員に自民党の方針を語ってもらい、行財政改革如何にあるべきかを論じ、自民党による改革が可能なのか見極めたいと思います。

 1月23日(水)6:30より学士会館で、軽食つき会費三千円。二次会あり。

◎水虫よさようなら・・・ムショ土産に愛をこめて

 未決の政治犯として足掛け三年住んだ中野刑務所での唯一の履き物はゴム草履でした。69年の師走に刑務所の入り口で自分の靴を脱ぎ、71年の正月に保釈で出所する時にそれを返して貰うまで、休日を除き毎日30分の運動時間も、たまの面会も、週二回の入浴の時も、護送車に揺られて裁判所に行く時も、刑務所での唯一の履き物はゴム草履でした。3階まで吹き抜けの廊下を挟んで両側に鉄扉で遮られた独房の並ぶ冷たいコンクリ-トの床をピシャピシャ鳴らして、ゴム草履は歩みます。要の位置の一段高い所で監守が見張る扇型に並んだ鶏舎の様な運動場では、ゴム草履は壁際を三角形にひたすら走り、縄跳びの縄に引っ掛かるまいとピョンピョン飛びます。たまに面会人があると嬉しくて、ゴム草履は監守を引っ張る様にドンドン前に進みます。護送車に揺られて裁判所に出かける時は、手錠と腰縄をされた主人が足を組んで珍しそうに外の景色を見ているので、圧迫から解放されてようやく息をつきます。

 週二回の入浴の時は入り口で主人に捨てられ、モウモウとしたスチ-ムバスの湯煙の中を号令一下浴槽に飛び込み、上がってはシャボンを使い、流しては又上がり湯にと、流れ作業の自動浴槽で垢を落とす主人と違って、ゴム草履は一向に綺麗になりませんが、帰りには違う主人の足模様を見ることになります。そんなゴム草履に、主人の他に住みつくもう一匹の居候がいて、ある時新しい主人の白く柔らかい足の指の間に棲家を変えました。そこは何時も暖かく、適度な湿り気があって住み心地が良く、足指の角質の間に潜り込んだそいつが仲間を増やして棲家を広げると、主人の足の指の間には水泡が出来てゴマ粒ほどの大きさになります。少しむず痒いので掻きむしると水泡はやぶれてトロッとした露を出し命を消した、と主人は思いました。それでも念のために軟膏を塗って、主人は勝利の気分を味わいます。しかし、長続きしません。特に蒸し暑い夏と、冬厚手の靴下を履いた時には、多分人類よりも長い書かれざる歴史を誇るであろう彼、真菌君はいともたやすく復活劇を繰り返します。

 それでも真菌君が足の指の間に棲家を限定している間は高を括っていたのですが、ある時足の裏にも水泡を発見して、即座にただならぬ事態に陥りつつあることを認識します。あのゴワゴワに乾き、深くひび割れした父親の足の、「北支」の戦場で貰って来たという居候の膨脹主義と凶暴性を思い起こしたのです。爪の裏にまで入られて、盛り上がって来でもしたらお終いです。百年の恋も覚めてしまいます。速やかに戦闘準備に入った主人は強力な援軍を求め西武新宿線を井草の駅まで走り、土橋皮膚科医院の扉を叩きます。何事にも我流が好きな主人ですが、事ここに至っては仕方がない。「先達こそあらま欲しけれ」です。土橋君はかって浪人中に東大学力増進会で糧を得ながら、弁護士と医者とタ-ゲットは違いながらも、東大図書館に籠って共に「やり直し戦」を「戦った」戦友です。

 土橋君は主人の皮膚をピンセットで擦ってさりげなく顕微鏡で覗き、三か月くらい継続して患部につけて下さいと軟膏と水薬をくれました。梅雨から夏にかけて薬がなくなるまで塗り続けたところ、水泡は姿を消します。秋も冬も水泡は現れず、終にゲリラ戦に勝利した、と思いました。しかしすっかり安心した春になって、水泡は再び足の指の間に現れたのです。仰天した主人は再び井草の戦友の元に走り、静かにほほ笑む先生から薬を受け取って再びせっせと塗り続けます。夏に入り薬が切れ、秋を過ぎて冬になっても真菌君の水泡の棲家は現れません。今度こそ勝利した、そう確信して主人は足の指の間に手をやりながら、焼酎の梅酒割りの寝酒を飲り、心地好い眠りに就きます。

 因みに土橋医院の連絡先は03-3996-3843(日曜、月曜休み)。

◎能高同期、応援団の金子君、町興し講演会に登場

 能代・山本フオ-ラム21の新春第一弾、29日(水)の町興し講演会の講師は能代 高校同期生、応援団で活躍した金子永喜丸井食品レストラン部長です。これまでは キャリア官僚等の中央の識者に問題提起、情報提供をしてもらい、併せて行政等の 人脈作りに役立てばとの位置付けでした。第六回は少し違って、八竜町出身の身近 かな金子君に東京の消費者がどの様な食品を好むのか、どうすれば売れるのか、 毎日売上数字を見比べ食品だけで年間300億円売り上げる部門の長として、確か な裏付けを持った「売れ筋情報」を語ります。故郷能代・山本のため何か役立つこと をしたいという金子君です。併せて、能代・山本の生産者との間に立って、丸井での 能代・山本の物産展の開催から、丸井での常置へとつなげて行く、そのとっかかりを 作っていただければと思います。

 丸井というとフアッション専科のイメ-ジ が強いと思いますが、「水族館通信」前号で触れた様に新しい店では食品売り場を 設けており、年間300億円売り上げています。多分秋田ではそんなに売上のある地 元企業はないと思います。それを彼が束ねています。売れる商品作りと上手い売り 方という確かな情報の提供だけでなく、300億円の売上げを誇る丸井の食品レスト ラン部に能代山本の物産の売り場を作って貰ういい機会です。能代・山本フオ-ラム 21にとっても能代山本の産業振興に一役かえると幸いです。

 プラザ都で 3:00より、懇親会含め会費7千円。
 事務局飯坂(0185-54-8953)迄。

◎登紀子と歌う

 一昨年5月の黒瀬義孝サッポロビ-ル顧問・元北海道警本部長(S35年入寮)の「震災・サリンと危機管理」を皮切りとする、隔月に一回の三鷹クラブ定例会員懇談会ですが、11月で第十回を突破しました。これを記念し、新年会を兼ねて1月11日(土)の午後、テアトロ・スンガリ-青山で加藤登紀子さんのコンサ-トを開きました。目標の百名には届きませんでしたが、婦人同伴も多く華やかな雰囲気の中、90名弱がロシア料理に舌鼓を打ち、ウオッカを飲りながら、一昨年の寮祭に無料出演して頂いた彼女の歌に耳を傾け、青春の頃に帰り、良く歌った琵琶湖就航の歌や北帰行、知床旅情を彼女と大合唱。初めての試みでオクタ-ブが上がらない向きもあり、ロシアだから少し食料不足だなという声もありましたが、夫人同伴で日頃の労をねぎらい、時を忘れ打ち興じることが出来ました。リスクを負えない同窓会の催しでしたが、お陰様で赤字にならずにすみましたので、出来れば工夫を加えて定例化し、三鷹クラブのメニュ-を増やしていければと思います。

 そんなオトキさんですが、11月12日には故郷能代で初の公演。文化会館を珍しく満杯にする。能代の入りが悪くなるといけないから八森では歌えないけれど、干場さんの出身校で話すくらいはと言っていただいていたのですが、NHKの取材が入って立ち消えに。是非一度白神山の麓で、日本海を背に歌っていただきたいものです。

◎第二回寮祭行わる

 第二回復活寮祭(宿舎祭)が十月末の土・日曜日に行われました。OBや三鷹市民も参加し、加藤登紀子さんも無料出演と盛大だった昨年と様変わりして、今年は等身大の寮祭。OB会を代表し金一封を持参して私がパ-テイに参加しましたが、これを出発点に寮生自身の手で段々盛り上げて行って、国際学生宿舎として生まれ変わった寮生同志の「国際交流」の、そして地域との交流の場として盛大なものにしていければと思います。

◎定例懇談会に伴建設事務次官登場

 この22日の第11回三鷹クラブ定例懇談会は行政改革の嵐の中、伴襄建設事務次官(S34年入寮、38年法学部卒、昨年7月次官就任)が講師です。今回は「公共投資雑感」と題し、永年担当された住宅・社会資本整備問題について、行革や財政改革の一環としての様々な批判や指摘も踏まえて、お話をしていただく予定です。硬派の大臣を迎え、建設行政の新機軸を打ち出していく大変多忙な時機ですが、内幕の苦労話に加えて、色々と興味あるホットなお話が伺えるものと期待されます。

 学士会館で6:30より、夕食・飲み物付きで会費五千円。二次会あり。

 尚、次回は木下栄一郎日銀大阪支店長(S35年入寮)を講師に初めて大阪で開催。JR共済の大阪弥生会館で3月14日(金)6時からです。会費は懇親パ-テイも含め7千円。

◎駒場祭で鳩山兄弟対論に長蛇の列

 三鷹寮自治会有志と語らって「どうする大学、日本」のテ-マで、駒場祭で鳩山兄弟の対論を企画。2~3日前に駒場の学生課から「SPが下調べに来ると言ってるけど何か知ってますか」と電話。大袈裟だなとそのままにしていたら、当日は五~六百人の長蛇の列。民主党大会では由紀夫さんに一人、菅大臣にさえ三人しかついていなかったのに、SPも十人ほど来て厳しく規制。半分ほどしか会場に入ってもらえず、事前にSPとネゴしておくんだったと大いに反省。200人くらいは来てくれるかなと思っていたのですが、江田さんに来てもらった前回と違い、鳩山民主党への期待の大きさを知らされました。 

 司会はプロジェクト猪の荒岡君が務め、大学時代のこと、大学・東大の在り方、日本の進路と政治の活性化、政治家としての鳩山兄弟の役割と若者への期待など、4つのテ-マで率直な意見交換が行われました。詳しくは「NEWS LETTERいのしし」10号参照。

◎2月中にウリ坊に愛の手を!

 生まれて2年のプロジェクト猪ですが、当初のノウハウ不足によるイヴェントの赤字続き(東商ホ-ル等人数の割に大型・高額の会場を利用)から、全共闘白書や団塊世代議員白書等の印税も食い潰し、少なからぬ赤字を抱えています。ただ団塊議員ネットを中心に会員も増え、イヴェントも学士会館等安くて手頃な会場を一杯にして盛り上げる手法も覚え、運営も軌道に乗って来ました。そこで累損を一掃し安定軌道に乗せようと、運転資金も含め大学別に一口一万円で三百万円のカンパを募ることになりました。早くも三鷹寮同期の永田光夫君からは5万円のカンパをいただいています。ご協力をお願い致します。寸志を干場革治名義の下記口座にお振込みいただければ、幼い猪も飢え死にせずにすみます。尚、ご協力いただいた方には「全共闘白書・資料編」(販価5千円)を差し上げます。

 郵便貯金 記号10160-2 番号22978031、三和銀行日本橋支店 普通 5250616

◎読者のペ-ジにお便り下さい

 形を変えて再出発を心掛けたのですが、又々、1ペ-ジ増えてしまいました。悪しからず。8ペ-ジ目は読者のペ-ジの心積もりだったのですが、少し忙しくて間遠になった分、大部割愛しても書くことが増えてしまいました。次回からは読者のペ-ジにしたいと思いますので、お便りをいただければと思います。

知人・友人各位               97年1月底冷えの朝に

       霊長類ヒト目猪科(希少種・絶滅注意) 干場革治

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