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アマダイ通信  NO.21       2000年4月     

注)文中に出てくるはアマダイこと不肖干場革治のことです。
(Tile Fish Network Letter)

 知人・友人各位

 爛漫と花咲く季節になりました。梅の花が寒さと共に去ると、こぶしの花の散る間もなく、淡いピンクの花が温かさを連れて来て、最悪の失業率の巷にも何か心弾む気分が春の霞みのごとく漂う感じがします。真空総理が病に倒れて蜃気楼総理に変わっても、この心弾む気分が蜃気楼の如く失せてしまうことがないことを願いたいものです。
 景気の花がこのまま膨らみ、紅葉の頃には爛漫と咲くことを願って、個人通信の21号を送ります。

◎今年の後半からは忙しい
 長引く不景気の中で、その最たるものである建設業界に半身を置く甘鯛(Tile Fish)であるが、このところ、地域や業種によっては景気のいい話しもちらほら聞こえて来る。営業顧問をする高橋カーテウォールでも今年の前半は工場設備が多少遊んでいるようであるが、後半からはベッド(鉄の台の上に、組み立てた鉄筋を寝かせてコンクリートを流し込み、外壁パネルを造るのでこういう)もフル稼働する予定であるという。膨大な不良資産の処理に悩むゼネコンからはメチャクチャな値段を突き付けられているのに、型枠や金物等の資材の業界は忙しく、値上げを迫って来るので、下手に安値で受注すると採算が取れなくなるという。
 今年から2003年にかけて東京の汐留、品川、丸の内、八重洲、六本木などで大型の再開発が続き高層ビルが大量生産されるので、下請けを叩き過ぎると業者を確保できなくなるのではないかと心配するゼネコン関係者もいるという。しかしこんな威勢のいい話しも東京だけで、西へ行くと仕事がないとこぼす話しばかりである。大阪から東京へ大量に社員を移動させている会社もあるという。
 ゼネコン業界ではバブルで踊り、リストラが遅れ体力の弱い会社がダンピング受注するので、価格がドンドン下がっている。安値で受注すると下請けを叩きに叩いて無理やり利益を上げようとするので、その会社が受注したと聞くと下請けから怨嗟の声が上がるゼネコンもある。阪神大震災で高速道路が倒れ、新幹線のコンクリートが落下して手抜き工事が明るみに出たが、そんな会社の仕事では品質が心配である。

◎来年一気に上場だ!
 盛時には2兆円近く売上げ、1千億円もの経常利益を出していたスーパーゼネコンも、売上1兆円を割る会社もあり、利益も百億や2百億円がやっとである。中堅どころに至っては3、4千億円の売上で2桁の利益しかない。中には半分借金を棒引きにしてもらってもまだ年間売上以上の債務を抱え、どうやっても返せそうにないのに潰れない会社もある。多分銀行の思惑が変わればいずれ倒産するのであろう。
 その隣の不動産業界も似たり寄ったりであるが、ゼネコンのダンピング競争の恩恵めでたく、笑う会社もある。かって中大全共闘で同じ色のヘルメットを被っていた森本浩義君がオーナー社長を務める株式会社モリモトもそんな会社である。東京の城南や横浜を中心に年間千戸以上のマンションを販売し、売上5百億円ほど。今年は2千戸近く売るという。もっと売上が少なくても株式を店頭公開している会社もあるので、おたくも店頭公開しないの?と聞くと、来年一気に東証2部に上場するという。

◎建てる前に売れて行く!
 そんな森本君に高橋カーテウォール在職中に子会社のスパジオの壁式収納家具を紹介したことがあったが、最初少し仕事をもらっただけで最近はないという。新規事業として始めたスパジオも軌道に乗り色々な不動産会社の仕事をしているので、あらためてモリモトに営業したいという。社員を帯同、森本社長に挨拶。担当者に事情を聞くと、スパジオさんは品物はいいが高いという。それではあらためて見積もりを出させて下さいということで、2度目は合格。あらためてクレッセントやディアナコートというモリモトのマンションに、遥々イタリアはミラノからスパジオの家具が運び込まれることに。
 そんな話しをどこかから聞いたのか、大手の設計事務所がモリモトを紹介してくれとやって来る。何社かに提案させていいプランを出したところに設計させるという。森本社長に頼んでさっそく設計競技に参加させてもらうが、二回続けて不採用。尋ねると、立派な会社なのだが1棟1棟売り切らなければならない会社のマンションを設計したことがないのではないかと厳しい言葉。その旨設計事務所に伝えると、建築家と一般の人の好みは違うから、エースを投入したのだが玄人好みの設計をしてしまったと反省の弁。取り敢えずもう少しエントリーさせてもらうことにする。
 そんな厳しい提案競技を経て作られるマンションも土地を仕込んで3、4ケ月で着工し、作る前に完売だという。ゼネコンさんは坪40万円ほどで工事するよと言う。これでは木造戸建てより安いが、安さだけで売れている訳ではないのである。そういう森本君を東京都港湾局の渡辺開発部長(S42年東大三鷹寮入寮) に紹介する。マンションデベロッパーと港湾局と一見結びつかないが、都が臨海副都心に大住宅団地を作るという。ついては最近のマンション事情を聞かせて欲しい、モリモトにも事業にエントリーして欲しいというのである。

◎景気最悪の時に少子化の影響が・・・
 昔一緒に司法試験の勉強をしていたM君から十数年振りに電話がある。聞けば自宅で近所の子供を相手に学習塾をやっていたが、今年から子供が来なくなって失業状態だという。職安にも行ってみたが50歳過ぎると警備員とかマンションの管理人等しか求職がなくて月20万円ほどにしかならない。まだ金のかかる子供が3人いてそれではどうにもならないとのこと。思い余って久し振りに電話をかけて来たらしい。
 独立して自分一人がようやく食べているような甘鯛も、人のことを心配するほどの余裕はないが、かって新規事業の立ち上げに失敗し、失業の淵に立った身としては大いに身につまされる。能代高校の同級生でテクノバンというソフトの会社を起こし急成長させている高松睦夫君が、人が欲しい、パソコンはわからなくてもいいからやる気のある奴いないかと言っていたのを思い出す。そうは言っても年齢や、一人で塾をやって来たという経歴からしてちょっと無理かなと思いつつさっそくお願いしてみるも、やはり駄目。取り敢えずノーハウのある受験業界を中心に声を掛けてみることに。景気最悪の時に少子化の影響が出てと嘆くM君であるが、心当たりがあったら連絡を下さい。
                  
◎ミレニアムの政治課題と団塊世代の役割
 団塊政策研究会新春講演会での、加藤紘一元自民党幹事長の講演からの抜粋を送ります。 この国を希望の持てる社会にするための手術をしようとしたのが橋本内閣ですが、執刀医たる橋本内閣も、幹事長の私も十分な説明をしていなかった。途中で患者から痛みを訴えられ、家族から冗談じゃないと言われ、堂々としていればいいんですが、顔に若干自信なさそうな表情が走り、持っていたメスが震えた印象を与えたもんですから、患者より家族から、医者変えた方がいいと言われたのが、一昨年の参議院の敗北ではないかと思います。今、政治家が、この国は大丈夫なのか?に対して大丈夫ですといい、そのために何をしなくちゃならんか?に、これをやればいい、ただきつい作業です、避けて通れないから我慢して下さいと、自信を持って言うことが大事ではないかと思います。
 そういう中で、ものすごく増えた借金の重さを、皆に知らしめることが第一だと思います。償還期間が60年の借金をしているんで痛痒を感じず、その事実を知って大変なことだと問題視する国会議員は案外少ない。昔は10年だったんです。建設国債は元々60年だったのですが、昭和59年、中曽根総理が財政再建達成を諦め、赤字国債も60年償還にしちゃった。20年か30年にしておけば今より良かったと思うんですが。今は孫のキャッシュカードでサインしまくってる状況です。調整インフレとかケインズ的な理論は通じない世界に来てると思います。
 二番目は研究開発です。ここ4年かなりの努力をしました。12月に決まった12年度政府予算には例えばDNA研究のプラス660億とか、前向きの予算がついているんだけれども、小渕総理は取り敢えず景気対策で構造改革は後だと言い、政調会長はバラマキがなぜ悪いと偽悪っぽくしゃべる。それで今度の予算が持っているメッセージがぜんぜん伝わらない。だから政治家は、やってますということを自信を持って話すことが必要なんじゃないかと思います。
 三番目は教育改革です。これからは極めて創造的な科学探求心を持った子供や、美的感覚に自信を持った子供を作っていかなきゃ駄目です。最高のフアッションはイタリアのミラノのフアッションだが、東京や神戸がミラノを凌駕できない理由はない。三宅一生さんもケンゾーもいる訳ですから、堂々と日本的な価値で世界にその材を広めたい。日本は奈良時代から均一的な農耕社会で、社会主義みたいな国だったんじゃないか。江戸の末期にお上に頼らない面白い社会、地域社会ができてたんですが、明治以来富国強兵ってことで外国の価値を入れることに精一杯で、自分達の価値を作り上げていく努力がなくなった。嗽石は三四郎で広田先生をかり、この国はのっぺらぼうな人間を作っている、いずれ潰れるねってつぶやく訳ですけれども、ある意味では嗽石の予見は当たっている。もともとそういう社会なんだからこそ自立した個人を作るような教育をしなきゃならない。
 小中義務教育がなぜ公立じゃなきゃ駄目なのか。私立の小中一貫教育に人数に応じ義務教育国庫負担金及び自治体が使ってるお金を渡すならば、面白い教育をすると思います。品川区は人数が少なくなったので今年4月から学区をなくし区のどこの学校に行ってもいいようにした。そうするとどっかの学校が2、3年するうち空く。どうするか。私立学校経営者にオークションで渡しちゃえばいい。あるところは体育に一生懸命、あるところは芸術、あるところは進学のみ、英語で小中義務教育をやるなんてところが出てくるかも知れない。公立学校の先生はパニックになるかも知れない。でも公立の良さってものを特徴づけるためにそれなりのことをする。それは高校にも大学にも伝わっていくと思います。 私は大学の産学協同、独立法人化、将来は民営化を視野にいれるべきと言っております。けれども、義務教育についても見直しを考える時期にきているんじゃないか。僕が官房副長官の時、大平総理が、加藤なあ、教育に国が口を出すと面白くない、文部省は教育管理省じゃなくて文教施設管理庁でいてくれた方がのびのびした子供が育つ、と言ったのを最近思い出すんです。この国は土の硬さを砕いてみたら色々なところに夢の出てくる、そして夢を創り上げて行く人材が育つ国に違いない。その夢を政治家が見、信じ、繰り返し国民に語って行く力を持っているか、国民から信頼を受けられるかどうかがここ1年の勝負だ、と思っています。それを受け止め、一緒にやっていただける世代は実は団塊の世代で、皆さんたちがやらないと、70歳になって、若い人が外国に出て行って日本にいないことになる。しかしそんなことにはきっとならんだろうと思います。一世代上ですが、精一杯やりますので、皆さんそれぞれのポジションで精一杯頑張っていただきたい。

◎構造改革優先の経済政策に異議あり!
 次は団塊ネットの新年会に駆け付けてくれた民主党の菅直人代議士の挨拶の要旨です。 後藤田正晴さんが新年に書かれた論文が、大変印象に残っています。前は団塊の世代は壊すことは得意だけれども創ることは下手だから、ちょっと危ないと言っていたんですが、壊さない限りは創れない、先のことは危ないけれどもまあ、団塊の世代に壊させてしまおうという趣旨だったと思います。創ることと壊すことの順番がどっちになるかはわかりませんが、加藤さんも最近この会に影響されたのか、結構壊すような迫力を持ってきたんじゃないかな。民主党の中はほとんど一回は政党を飛び出したことのある人ばかりです。蛹が一回脱皮して、スタートしたようなところがあるわけです。加藤さんも一回脱皮すると、本物のナショナルリーダーというよりインターナショナルリーダーになれる人ではないかと期待しています。
 最近加藤さんは小渕さん流の野放図な経済政策はけしからん、構造改革からやらなきゃいかんと言っています。私はそれは半分正しいと思うんです。じゃあ、構造改革をやったら経済が立ち直るか。因みに日産に2万人の従業員がいて百万台の車を作っていたとする。で、ゴーンさんがやって来て1万人首切って1万人で百万台作ると日産は立ち直るんです。しかし、1万人の失業者を抱えた社会は、それで景気がよくなるとは思えない。その1万人に対しても適切な経済的な対策がないと日本の経済は立ち直らない。
 私が最近うけている話しですが、きんさんぎんさんがある席でお祝い金を貰った。孫か曾孫にパソコンでも買いますかと言ったら、いやいや老後のためにとっておきます、と。つまり構造改革をやるのはいいんだけれども、不安感が解消するまでは消費は伸びない訳で、一生懸命貯金をして、その貯金の差額を勝手に引き出して使っているのが世界の借金王な訳です。

◎イデオロギーが本格的に必要な時代に
 同じく民主党の仙石由人衆議院議員の挨拶要旨です。
 菅さんも話されてたけれど、今はやっぱり壊すことが先でなければいけません。さっき加藤さんの講演を聞いておりまして、相当アナーキーな気分もある訳ですが、それでも自民党本流のボスで一生を終えられるんじゃないか。そういう感じを私は持ちました。代表の鳩山由紀夫さんが、メールで加藤さんにラブコールを送ってますけれども、今年は加藤さんに甘い顔をしてはいけない、厳しく突き放して、一遍泥水を飲んでいただかなければと思っています。だから敢えて私も連絡を取らない、Emailもやらないようにしています。十分の一くらいしか信用してませんが、加藤さんも梶山さんと共にケツをまくれるのかな、と。まくってくれればそれはそれで日本の政治が今以上に政策で、あるいはもうちょっと古い言葉で言うと、イデオロギーで動くと。やっぱりイデオロギーみたいなものが本格的に必要になってきた時代だな、何とかそれをやりたいというのが今年の考えです。    是非団塊の世代の皆様にリスクを取っていただき、一緒にこの日本を沈没させるか、沈没させずに救い上げるか、沈没させた後何とかよっこらしょと再建させるのか、一緒に頑張っていきたいと思います。

◎五月祭にエントリーはしたけれど
 加藤紘一さんの講演会には留学生も含め三鷹寮の若い寮生も参加。東大の学園祭である五月祭で加藤さんと鳩山由紀夫さんの対談を企画するので是非出席して欲しいとお願い。その場で快諾してもらう。3月に入って大きな会場が確保できたので、鳩山さんにもお願いし、加藤さんと一緒ならということで、OKになる。選挙になると五月祭で対談などと悠長なことをやっていられない。気になるが、サミット後になりそうでこれも大丈夫だ。政局に一石を投じることができるかも知れないなどと、あらぬことを考える。
 それであらためて加藤事務所に連絡を取ったところ、今度は都合がつかないという。越智金融再生委員長が舌禍事件で引責辞任し、反主流派の加藤派から谷垣さんを後任に出したことで、自民党主流派との関係が修復。選挙も近いことだし野党の党首と同席するのはまずいということなのだろう。仙石さんがいうところの「相当アナーキーな気分」から、「自民党本流のボス」への軌道修正である。それはないよと思いつつも、鳩山さんから加藤さんと一緒という条件で承諾を貰っているので大ピンチ。団塊ネットの世話人連にも相談、テーマを絞ったり、構成を変えたりして、違うルートからも加藤さんに再度お願いしようと策を練り直したら、今度は小渕さんが倒れて総理大臣が変わり、一気に選挙モードに。これでは鳩山さんも無理かも知れないと、ついに八方塞がり。
 団塊ネットの新年会では世話人を代表して、与党の自民党も野党の民主党も同じように右から左まで幅の広い国会議員を抱え、従ってそれぞれの主張も明快さを欠き、違いが分かりにくい。その分かりにくさが国民の政治への無関心、政治離れの大きな原因になっているので、保守とリベラル、大国主義と小国主義など、わかりやすい対立軸のもとで、政権交替可能な二大政党制への再編を急いで欲しいと挨拶する。その意味で加藤・鳩山対談はピッタリの企画なのだが。ピッタリ過ぎたのが仇になる。取り敢えず五月祭をどうするか、寮生諸君と企画を練り直さなくてはいけないが、どなたかいい知恵を!

◎次世代トイレ研究会スタートす!
 建設省河川局OBで長崎大学環境科学部教授の石崎勝義先輩(S33年東大三鷹寮入寮)から久し振りに電話がある。環境負荷が少なく、水資源を無駄使いしない、資源循環型の新しいトイレシステムの研究会を立ち上げるので呼び掛け人にとのこと。トイレのことはよくわからないが、趣旨に賛同できるので二つ返事でOKする。ところが送られて来た資料をみると呼び掛け人には日本設計創立者の池田さんや元建設省河川局長の松田さん、元下水道部長で下水道公団理事の安中さんなどそうそうたる顔ぶれ。とても私のような素人が顔を並べる場ではない。しかし、僕を良く知っている石崎先輩が主宰し手伝えと言っているのだから、何か役に立つことがあるのだろう。こんな立派な方々に交えてもらえるのだから色々学ぶところがあると、ここはプラス思考で行くことにする。もっとも何時もプラス思考の単細胞人間に過ぎないということなのだが。
 トイレには色々な思い出があるが、一番強烈なのは昨年、緑の地球ネットワークの中国黄土高原緑化ツアーで体験した「地球大のトイレ」である。庭の片隅に土塀で囲って3角ほどの穴を掘り丸太を数本渡してあるだけ。警察の留置場に入れられた時もそうだったが、環境が変わると快便、快眠の単細胞人間もストレスからか2、3日通じがない。だが7泊8日のツアーでは体内に貯めて置くのにも限りがある。下は見ないようにして2本の丸太に跨がり、ズボンを下ろす。乾燥しているせいか臭わない。見れば紙は私が使ったのしか落ちていない。一度通じがあると後は大丈夫。だが、水が違うせいか良くなり過ぎて、早朝の大同の街の散歩としゃれこんでいると、急に便意を催す。異国で公園の片隅の公衆トイレをどうにか探し駆け込むと、暗くてよく見えない。目が慣れて来ると剥きだしのコンクリートの溝だけのトイレにのっかってしゃがんだ二人の男が、尻を後ろに突き出してこっちを睨んでいる。一瞬頭の中が白くなる感じがするが、お尻は待ってくれない。恐る恐る二人の間に割って入って、ようやくのことで用を足す。
 家に帰れば二つのトイレにはウオシュレットまでつき快適であるが、世界人口の半数以上の33億人がウオシュレットどころかトイレもない生活をしている。ウオシュレットを発明した国と違って原子爆弾を持ち、人工衛星を簡単に軌道に乗せてしまうお隣りの大国でさえ、未だに半数以上がトイレレスの生活だ。公共下水に至ってはアジア地域でも10%しかその恩恵に浴していない。そこから、先進国のみが快適な生活を保障されるということでいいのか。他と比べ水が豊富だから、経済的にゆとりがあるからと言って、飲める水をふんだんに水洗トイレで使っていいのか。周りを海に囲まれ雨の多い日本でさえ、夏になると西日本では水不足に陥ることも多い。まして今でさえ水不足が深刻な人口大国の中国やインドで、生活水準が向上し、水洗トイレが普及したらどうなるのか。150の大便を流すのにその70倍の10の上水を使うことは許されるのか。生活水準が向上すれば食糧需要も増大し、その生産のためには農業用水も工業用水も当然増える。水需要は益々逼迫する。アメリカでは6便器が、シンガポールでは4.5便器が義務付けられているが、これまで以上に節水型の便器の開発が急務である。又、し尿処理場、下水処理場から発生する汚泥の処分も大きな課題だが、できるだけ発生源に近いところで、できれば比較的無害な尿や生活雑排水と環境・衛生上有害な大便を分離処理し肥料として畑に返すことができれば、窒素やリン、カリなどの栄養塩類で水域を汚染し、富栄養化することも防げる。環境ホルモンを除去することも可能になるのではないか。
 思い掛けずにわか勉強の成果を披露してしまったが?!4月6日の第一回研究会に続き千駄ヶ谷の東京体育館で5月12日(金)13:30〜17:00の予定で第二回研究会が行われます。テーマは「建物水回りの環境のあり方」(坂上恭助 明治大学教授)、「トイレを考える視点と技術開発の方向」(飯島孝 岐阜経済大学教授)です。詳しくは事務局の日本トイレ協会(03-3593-1374)迄。

◎風流の終りや雪の川下り
 東京は芝高校出身の路上観察学会事務局の前田君に、3月初旬では山形、秋田はまだ雪だよと秋田生まれの甘鯛が主張しても受け入れられず、奥の細道路上観察東北編の最後は3月の7日〜9日に設定される。多分スポンサーとの関係で年度内に清算できるようにということなのだろうが案の定、三日とも雪に降り籠められる。
 今回は山寺を起点に最上川を下って、酒田から秋田の象潟へ出、鶴岡へ戻るというコース。初日は新幹線で山形へ着くと山寺へ直行、山寺を対岸に望む風雅の国で昼食をいただく。白い山腹に墨色に山寺が浮かぶ。なかなか風雅である。昼からビールを口にして「感性が無限に解放された」?!せいか、そう言えば学生時代に憧れていた娘に山寺出身の子がいたと、学生時代のその娘の面影が浮かぶ。相変わらず楚々とした娘のままなのがおかしくもあり嬉しくもある。芭蕉が「五月雨をあつめて早し最上川」とうたった最上川を、故事にならい、季節ゆえ透明なビニールの天蓋つきの船で下る。雪の最上川下りもなかなか風流である。9日は一番の大雪で、新潟で最終の新幹線に乗り継ぎ東京に帰る予定が、羽越線の特急の大幅遅れで乗り継ぎできず。特別仕立ての夜行列車で久し振りに朝帰り。 これで東北地建管内の奥の細道の路上観察は終り。共同通信が4月から50週にわたり全国配信することになったので、新年度は先ず北陸地建管内を歩くことに。これでは年度内に念願の故郷秋田の奥の奥道を歩けるかどうか。前田事務局の厳しい指示が来る。秋田魁と信濃毎日に営業しろ!さっそく、八森中学の1年先輩の魁の総合企画部の佐藤健三氏と信毎の菊池公雄論説委員(S43年入寮)に電話しながら、共同通信の沖健一君(S42年入寮)の顔が浮かぶ。そうだ、共同通信本社新築の営業を頼まれていたのだ。佐藤先輩と菊池君ありがとう。沖君宜しく!

◎甘鯛キャンペーン好評の内に終了
 年賀葉書のお年玉の代わりに、抽選で故郷の海の甘鯛入り特製一夜干しセットを贈る甘鯛キャンペーンも無事終わる。中学同級生のM嬢からはどうして私に当てないのと抗議があり、同期会の打ち合わせで食事をご馳走する羽目になるが、外れた市原郁雄君(S48年入寮)からは、自分で取り寄せてみたのだが美味しかったと報告あり。 
 因みに「ホシバクンの甘鯛入り特製一夜干しセット」は甘鯛とホッケ(各1匹)、ホッケのツミレ、ハタハタとカレイ(各5匹)が入って2千5百円(送料別途、季節により内容が異なる時あり)です。味わってみようという読者は「八森海鮮紀行」(0185−77−3785、FAX 0185−77−3387)までどうぞ。

◎留学生支援の輪を広げよう!
 少子化の下での大学の生き残り策もあり、外国人留学生が増えているようですが、現在、東大で勉学や研究に励む外国人留学生も1,900人超と10年間で倍増し、国立大学全体の1割ほどと全国の大学で最多数を数えています。大学の国際貢献という面からも、優れた外国人留学生による東大の教育研究に対する刺激、活性化という点でも大きな役割を果たしていますが、留学生の増加に伴い、奨学金、住宅問題、事故等生活上の様々な問題が生じ、大学も十分に対応出来ていないのが現状です。特に、留学生が勉学や研究に集中するには経済的基盤がしっかりしている必要がありますが、約4割の留学生が奨学金もなく、アルバイトで生計を維持するなど経済的に困難な状況にあります。又、最近のアジア各国の経済・通貨危機で母国からの仕送りも激減しています。 
 その様な現状を踏まえて、東大全学の教職員が留学生に対する奨学金の支給や事故・災害に遭ったときの見舞金の支給、一時金の貸与等を行うと共に、ボランティアグループを組織化し、その活動に対しての援助を行うことなどを目的として、「東京大学外国人留学生後援会」(会長:蓮實重彦東大総長)を平成10年7月に発足させ、平成11年4月より奨学金の支給を開始しました。会の活動はOBの間にも広がり、個人加入の同窓会組織である東京銀杏会を中心に昨年10月末までに254名の卒業生も賛助会員として加入し、全体で1千数百万円の寄金を得て、15名の留学生へ奨学金を支給、2名へ見舞金、23名へ一時金を支給するなどしています。又、OBの弁護士有志によるボランティアグループで法律相談にあたるなど留学生支援の輪が広がりつつあります。
 そこで、東大三鷹クラブとしても「東京大学外国人留学生後援会」の趣旨に賛同し、この度、広く寄付を募ることにしました。ささやかな支援ですが、その結果留学生が少しでも日本に対して良い感情を持って母国に帰り、活躍することになれば何よりの国際貢献となります。東大三鷹寮の後身たる「東大三鷹国際学生宿舎」には現在600人の寮生中、アジアを中心に20数か国からの2百人の留学生が、4百人の日本人学生と共に生活しています。全学の1割強の留学生が勉学する三鷹の地でかって青春時代を過ごしたOBも、この留学生支援の輪に加わろうと、取り敢えず三鷹クラブの会員には第30回定例懇談会の案内状とともに、振り込み用紙を送ってありますが、まだの方は寄付金(一口1千円、3口以上)を下記口座にお振り込みいただければと思います。
振 込 先 郵便振替口座番号 00110−2−120947
      郵便振替口座名称 東京大学外国人留学生後援会
問合わせ先 03−5841−2372 FAX 03−5841−2352

◎ゲノムビジネス最前線・・・三鷹クラブ第31回講演会のご案内
 4月21日(金)にゲノム(生物毎に固有な遺伝子情報のワンセット)ベンチャー企業ダナフォーム社長の林利蔵氏(S33年東大三鷹寮入寮)に話していただきます。林先輩は三井物産で食品関係の仕事をし、アメリカに渡って技術売買の部門で働き、最先端技術のネットやバイオの大家になる。物産を退職後一時在籍したサンスターを退き、昨年新しいゲノムのベンチャービジネスを始めました。ダナフォーム社は遺伝子解析の分野で理化学研究所が独自開発した遺伝子解析技術等を企業に移転する会社で、林社長はアメリカの店頭市場ナスダックに株式を公開するのだと張り切っています。
 最近も日米欧の国家主導の「ヒトゲノム計画」国際プロジェクトに先駆け、アメリカのセレーラ社がヒトゲノムの解読を終えたと発表し、IT革命に続いてバイオテクノロジーの分野でもアメリカに置いてきぼりを食いそうですが、果たして挽回は可能なのでしょうか。日本のゲノムビジネス最前線で頑張る林先輩にその現状と展望を話していただきます。 神田の学士会館で6時会場、6時半開会、食事・飲み物付きで会費5千円です。

◎三鷹寮開寮50周年を記念して
 6月20日(火)の第32回定例懇談会は開寮50周年を記念して、昭和25年の第一期入寮生で寮委員長もされた鎌倉節宮内庁長官の記念講演とパーティーを予定しています。又、寮誌「雑木林」の復刻と新名簿の作成も予定しています。
 第33回定例懇談会は若林正丈東大教授(台湾学:S43年入寮)に7月下旬の講演をお願いし、検討していただいています。                     
(月曜日の朝にギリギリセーフもミスプリ数多?その時はゴメンナサイ。   再見!)
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